メリノウール - 柔らかさと暖かさの新基準

メリノウールとは?

メリノ羊の原産地はスペインで、その最古の群れは12世紀にまでさかのぼると言われています。現在では、ニュージーランドが大きな生産地となっていて多くの人がニュージーランドを「羊の国」と呼んでいます。実際ニュージーランド人1人につき約6頭の羊がいると言われています。現在ニュージーランドには3,500万頭の羊がおり、そのうち300万頭がメリノ種です。

メリノウールはメリノ種の羊から採れる素材で、その優れた特性で知られています。その優れた特性の中には、柔らかさ、耐久性、保冷・保温性、そして通気性がなど多岐にわたります。メリノウールの繊維は他の多くの繊維よりも柔らかく、そして繊細です。

メリノウールの歴史

海に囲まれた島国であるニュージーランドには、数百年前まで羊の品種がありませんでした。何世紀もの間、古代メリノ種はその上質な羊毛でスペインでは有名でした。1840年代から1860年代初頭にかけて、何千頭ものメリノ種の羊がタスマン海を渡って運ばれてきました。しかし、羊の品質は必ずしも良いとは言えなかったため、ニュージーランドのブリーダーたちはドイツ、フランス、アメリカ、イギリスから少量の羊を輸入し、羊の質を向上させました。1880年代初頭には、ニュージーランドメリノ種はニュージーランドのシンボル的な存在となりました。

メリノウールはどのように作られるの?

メリノウールが羊から皮生地になるまでには、大きく分けて、毛刈り、選別、紡毛、紡績、製織、仕上げの工程が必要です。

毛刈り

羊の毛は年に一度、通常は春に刈り取られます。カミソリのような電動工具を使い、1日に200頭もの羊の毛を刈ることができます。刈り取られた羊毛の重さは3~8kgで、毛は1つにまとまっています。注意深く行えば、毛刈りで羊が傷つくことはありません。毛刈りをすると、夏の間羊は薄くて涼しい毛皮を身にまといます。羊の毛を刈らない場合、羊の毛が伸びすぎてしまうことがあり、有名な「羊のシュレック」(毛刈りを嫌い6年間農場から脱走し発見当時、羊毛が3倍に膨れ上がっていたニュージーランドの羊)の例のようになってしまう可能性があります。

選別

刈り取り後、最初に行わなければならないのが羊毛の選別です。仕分けでは、羊毛を体のさまざまな部分から質の異なる繊維に分けられます。そのため、繊維の長さや染料を吸収する力などを考慮しながら羊毛を選別する必要があります。羊の肩や脇の部分から取れる羊毛が最も良質で、衣類に使用され下肢から取れる羊毛はあまり良質ではなく、絨毯を作る際に用いられます。
羊毛の品質は品種の違いだけでなく、動物の生息する地理的条件、その地域の気候条件、毛刈りの季節、飼料の質と成分などにも左右されます。

カーディング (紡毛)

次に、羊毛の繊維を金属の歯で引っ張るカーディング(毛を紡ぐ)という工程に入ります。羊の毛は本来カールしていますが、カーディングをすることで繊維がまっすぐになり、ふんわりとした仕上がりになります。この工程が終わるころには、羊毛の繊維は薄く平らに並べられます。また、カーディングは繊維に残った汚れなどを除去する工程でもあります。

紡績

紡績はウール繊維を糸にする工程のことで、この工程では、ウール繊維を引き抜き撚り合わせます。ウール毛糸の紡績は通常ミュール機という紡績機で行われますが、ウーステッドヤーンは何台もの様々な紡績機で紡ぐことができます。紡績された糸は、管やボビンに巻きつけられます。異なる工程により、異なる種類の糸が作られ、それぞれ異なる最終製品に使用されます。例えば、梳毛(そもう)紡績では、滑らかで細い糸ができるのでスーツなどの衣類に最適です。一方、毛糸紡績では、編み物に適した太い糸ができます。

整織

羊毛メーカー各社は、平織りとツイルという2つの基本的な織り方を採用しています。毛糸を平織りにすることで、織り目がやや緩く、光沢のほとんどない柔らかな表面を持つ生地ができます。

毛糸の一部はウール製品の原料となり、その他の毛糸は消費者に販売され、ジャンパーやマフラーなどの衣料品を作るために使われます。

仕上げ

仕上げ工程は、生地の安定性を高めるもう一つの重要な工程です。縮目加工(布を水に浸して繊維を連結させる)、ディケード(防縮加工)、染色(羊毛繊維はカーディングの前に染色できますが、織物にした後に染色することもあります)など、一連の仕上げ工程があります。

なぜメリノウールは通常のウールより優れているの?

通常のウールは羊や山羊などの毛のある動物の皮から採取された繊維で、メリノウールは特にメリノ種の羊から採取された繊維です。

肌ざわり:メリノウールは通常のウールに比べて非常に柔らかいので、敏感な肌の方でも着用できます。

天然:メリノウールは、毎年羊毛を収穫した後も成長し続けるため、天然で持続可能な資源です。

軽量:メリノウールは、その重量と暖かさの比率から、市場で最も軽量な素材の一つです。通常のウールと比べても、メリノウールは非常に軽量です。

通気性:メリノウールは通気性に優れています。必要に応じて暖かさを保ち、暑い天候の際には体を冷ますことができます。メリノ羊の体温調節のための自然な特性を活かし、着込みすぎるのを防ぎどんな天候でも快適に過ごすことができます。

メリノウールの品質を決めるものは何ですか?

羊毛の直径はミクロン(1ミクロンは1メートルの100万分の1)で表され、ミクロンが低いほど細かく高価になります。通常の粗いウールは40ミクロン以上ですが、メリノははるかに細く、約24ミクロンくらいから15ミクロン以下までです。その細かさゆえに、メリノは厚手のウールのようなかゆみやざらつきがなく、保温性と吸湿性に優れています。

メリノウールのお手入れ方法は?

手洗い

中性洗剤を使用し、清潔なぬるま湯で裏返しにして手洗いしてください。10分ほど浸した後、ぬるま湯で十分にすすぎ、最後に冷水で洗い流します。
明るい色のものと暗い色のものを分けて洗うことが大切です。これにより、洗濯中に色落ちした場合のダメージを防ぐことができます。

ドライクリーニング

ニットウェアは、専門のドライクリーニング店に持ち込んで頂くとセーターの優れた品質をより長く維持することができます。

保管方法

ニオイやシミ、汚れを防ぐために必ず清潔に洗濯してから保管してください。保管の際は、吊るさずに折り畳んでください。